にゃんとま~の放浪記

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【超重要】『食料への権利 確立を 京都大学大学院教授 久野秀二氏』|日本農業新聞3日

(引用始め)(色付け、【超重要】【重要】、などは引用者による。また(引用者)とある場合も同じ)

【超重要】『食料への権利 確立を 京都大学大学院教授 久野秀二氏』

 米国の干ばつを始め世界各地で異常気象が相次ぎ、トウモロコシや大豆の国際価格が急騰している。2007/08年の食料価格高騰以来、国際価格は高値水準で乱高下を繰り返してきた。食料高騰は格差社会と貧困化が進む先進諸国にとっても無関係ではないが、途上国・貧困地域に及ぼす影響はより甚大である。それゆえ国際社会が果たすべき責任は極めて大きく、いよいよその無策ぶりが問われている。
 
 近年の天候不順は構造的気候変動の「現象」であり、食料高騰の引き金ではあっても問題の「本質」ではない。輸出国の論理で設計された自由貿易システムと新自由主義的「構造調整」政策が、①食料輸入国、特に後発開発途上国の持続的農業発展を妨げ小農支援体制を破壊②先物市場での野放図な金融投機や大規模直接投資による農地収奪が新たな問題として急浮上③過大なバイオ燃料推進政策が穀物需給の逼迫をあおる―ことに加え、これらの背後で利益をむさぼる多国籍企業が規制されないまま影響力を増長していることなど、改めるべき問題は明らかである。
 
 ところが国際的対応は後手に回る。1980年代以来の新自由主義的イデオロギーの根は深く、世界の食料供給を一部の生産輸出大国に依存し、貿易や投資の自由化をもって世界の「食料安全保障」と標榜する現行農業食料システムが、依然として議論の前提とされている。
 
 こうした中で、国連人権理事会「食料への権利」特別報告者のオリビエ・ドシューテルは、主要20カ国(G20)や世界銀行が提案する対症療法的な緊急支援や政策措置を批判し、各国・国際機関が順守すべき「食料への権利」などの社会的権利実現には、農業食料システムの根本的な構造転換こそが必要とする。もう一つ重要な示唆は、世界各地で実践され成果を上げるアグロエコロジーに注目し、「食料への権利」論の柱の一つに位置付けている点である。
 
 今回露呈したように、環境変化に脆弱なモノカルチャー(単一作物栽培)的大規模農業食料システムではなく、各国・地域の複雑な生態系に柔軟に対応できるローカルな農業食料システムの再構築が必要である。巨額の資金を投入して「気候変動対応型遺伝子組み換え(GM)作物」を開発して済む話ではない。同時にアグロエコロジーは環境面だけでなく、経済、社会、文化の多様性、生産者と消費者の主体性の向上を目指すものであり、現行の農業食料システムで破壊されてきたものを取り戻すための試みでもある。
 
 日本国内でも「つくる権利・食べる権利・決める権利」が侵害されている。さらに権利は義務と裏表の関係にある。権利実現のために国家、国際機関、多国籍企業が負うべき国際的義務を追及するのが国際人権論の真髄である。日本の政府開発資金や民間企業の海外直接投資が農地収奪に加担していないか。日本が重要な構成員となる国際経済機関が同じ過ちを繰り返していないか。政府が国内の食料生産基盤を積極的に破壊し輸入依存率をいっそう高めることで、国際食料市場のかく乱と食料高騰に加担していないか。そうであるなら「食料への権利」の国際的侵害である。
 
 環太平洋連携協定(TPP)などの貿易・投資自由化協定によって国内外の生活者の諸権利を奪うことも、本来は国際社会で問題にすべき立派な義務違反である。特定の利害とイデオロギーによって推進される自由貿易体制を当然視し、国際人権規範といえどもそれを上書きできないと諦める理由はない。
 
 食料高騰による家計への影響だけでなく、地域と国の食料供給の在り方に意識を向け、食料輸入の向こう側で起きていることにも思いをはせるローカルかつグローバルな「想像力」が求められている。その想像力があれば、大手スーパーが推進する価格破壊を歓迎し、安い食料が入手できるならとTPPを支持することもないだろう。そのためには、農業食料問題だけに議論をとどめず、激安食品を必要とさせるような生活破壊の政治とも決別しなければならないことは言うまでもない。
 
 ひさの・しゅうじ 1968年大阪府生まれ。京都大学大学院准教授を経て2010年12月から現職。その間、ワーヘニンゲン大学およびアムステルダム自由大学で客員研究員を務める。

(引用終)

―(引用者)国際人権論から論じた自由貿易体制批判。秀逸。このヒトはTPP特集を組んだ『農業と経済』5月号にも登場している。

●3日のトップページ⇒ http://bit.ly/T7E3go 携帯版⇒ http://bit.ly/T7E3gs

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  1. 2012/09/03(月) 07:05:48|
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