(引用始め)(色付け、
【超重要】、
【重要】、などは引用者による。また(引用者)とある場合も同じ)
【超重要】【衆院選とTPP】服部信司『危機感持ち 選挙臨め』
今回の衆院選は、税と社会保障、原発、領土問題をはじめとした外交、そしてTPP交渉参加問題など、これからの日本の在り方を決める諸問題が問われる重要な選挙だ。
経済政策では、長期化する経済低迷の中で、実効性のある成長戦略が求められている。一部にインフレ率の目標を設定する公約もみられるが、物価上昇は低所得者層の暮らしを直撃する。
労働者全体に占める年収200万円以下の低所得者層が4分の1を占める中で、慎重な判断が必要だろう。消費税増税に関しては今後、積み残しになった社会保障の在り方や消費税率引き上げに伴う低所得者層への対応が急務になる。
外交政策では、中国や韓国との領土・領海問題への対応が問われている。日米関係とともに、近隣諸国・アジア地域との良好な関係をどう構築していくか、重要な局面にある。外交のかじ取りをどの党に任せるのかを見極めなければならない。
■ ■
今後の国の在り方を左右するTPP問題については、政府からの情報が少なく国民的な議論も不十分で、問題の本質が国民に浸透していない。内閣府のシュミレーションでも、10年後に国内総生産(GDP)を0・54%押し上げる程度の効果だ。どう考えても、景気や経済にはほとんど効果はない。
一方で、国内への影響は極めて大きい。原則関税撤廃のTPPに参加すれば、日本の農業が大変な打撃を受けるのは明らかだ。
1、2品目の例外が認められたとしても、例外の見返りにミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)などの低関税輸入枠の拡大を要求されるだろう。仮に
米を例外にしたとしても、乳製品、豚肉、牛肉、砂糖などの関税は全廃を求められる恐れがある。これでは農業は壊滅し、地域が成り立たなくなる。
カナダとメキシコが参加し11カ国になったTPP交渉は、米国の思惑通りには進んでいない。
物品の関税分野では、米国はオーストラリアと砂糖、ニュージーランドと乳製品、ベトナムと繊維で対立している。これらは米国が自由化したくない品目だ。しかし、米国はカナダに対して、供給量を管理して需給を安定させている鶏肉、鶏卵、乳製品といった重要品目も交渉の対象にするよう求めている。こうした
米国の対応は独善的と言わざるを得ない。
投資分野では、
投資家・国家訴訟(ISD)条項をめぐって、米国とオーストラリアが激しく対立している。米国が求める
国営企業に対する規制については、ベトナムやシンガポールが反対している。
労働や環境、知的財産権などの分野をめぐっても、米国と交渉参加国の間で対立が激化している。
■ ■
交渉の行方は予断を許さない。米国の要求が高すぎるため、TPP交渉が世界貿易機関(WTO)交渉のように
長期化するとの見方がある。一方、オバマ政権が経済回復策の一つに位置付けるTPPが合意できなければ政権の信頼失墜にもなりかねず、
交渉をまとめるために要求を現実化させる可能性もある。また、
日本に対する米国の圧力が強まり、日本が厳しい立場に立たされる恐れもある。
日本が目指すべき経済連携は決してTPPではない。世界の成長の中心はアジアだ。アジアといかに経済連携を強めるかが必要だ。中国、韓国との関係改善を急ぎ、日中韓自由貿易協定(FTA)、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)といった枠組みを基本に、経済連携を構築することが重要だ。
衆院選では、TPP、外交、原発の在り方を含むエネルギー政策など本当に難しい課題が問われている。危機感を持って選挙に臨まなければならない。投票に当たっては各政党・各候補者の公約、発言をしっかりと見極めることが有権者一人一人に求められている。(聞き手・吉田聡)
●東洋大学名誉教授 服部 信司氏
はっとり・しんじ 1938年、静岡県生まれ。83年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。岐阜経済大学教授を経て、93年東洋大学経済学部教授、2009年日本農業研究所客員研究員、東洋大学名誉教授。著書に『TPP問題と日本農業』『TPP不参加 戸別所得補償の継続』など多数。
(引用終)
(引用者)後段の経済連携の摸索云々についてはどうかと思うが、TPPの現状については手際よくまとめられている。ただ、オバマ政権の2期目についてはどうなるのかはまだはっきりとしていないのではないか。米国民は北米自由貿易協定(NAFTA)で痛い思いをしている。NAFTAの拡大版とも言えるTPPに対しては(そんなに知られていないという現実があるが、知られるようになれば)NAFTAとの連想から反対するはずだ。
また、来年1月には米国「財政の崖」が発生するのはほぼ不可避の状況。これに対応してオバマ政権2期目には、大胆に政策変更してくるのではないか、との読み方も可能だ。
冒頭に低所得者についての記述があるが、直近の調査では1世帯当たり(個人ではないので注意)の年収の中央値は400万円を割り込んだ。中央値というのは平均値と異なり上から(下から)50%に当たる値だ。
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- 2012/12/04(火) 07:55:57|
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